当プログラムについて

当プログラムについて

目的

 現在、地域の病院や診療所の医師が、かかりつけ医として地域医療を支えています。今後の日本社会の急速な高齢化などを踏まえると、健康にかかわる問題について適切な初期対応などを行う医師が必要となることから、総合的な診療能力を有する医師の専門性を評価するために、新たな基本診療領域の専門医として総合診療専門医が位置づけられました。そして、総合診療専門医の質の向上を図り、以て、国民の健康・福祉に貢献することを総合診療専門研修プログラムの第一の目的としています。

こうした制度の理念に則って、鹿児島総合診療研修プログラムは病院、診療所などで活躍する高い診断・治療能力をもち、地域包括ケアの中心となる総合診療専門医を養成するために創設されました。本研修プログラムは垂水市立医療センター垂水中央病院を研修プログラムの基幹施設としていますが、垂水市を中心としたプログラムではなく、鹿児島県下のすべての二次医療圏に位置する35の公的病院、へき地診療所などが協力して、鹿児島の地域包括ケアを支える総合診療専門医を育成することを目的としています。

鹿児島総合診療研修プログラムの概要

1)プログラム基幹施設:垂水市立医療センター垂水中央病院
2)プログラム統括責任者:桑波田 聡(垂水中央病院 総合診療科部長、日本プライマリ・ケア連合学会 代議員・認定医・指導医)
3)研修連携施設:鹿児島県内の35施設
4)定員:6名
5)研修期間:3年

鹿児島総合診療研修プログラムの特徴

1)本プログラムの基本理念は「鹿児島県下の公的病院とへき地診療所が協力して、鹿児島県の地域医療を支える総合診療医を育成する」ことです。
2)「鹿児島県の地域で大きな役割を果たしている公的施設」が研修の場になっているため、研修すること自体が鹿児島県の地域医療の充実に寄与します。
3) 鹿児島県の多数の施設が参加し指導医が多数配置されていますので、指導体制が充実し、多様なニーズにも対応可能です。
4)「鹿児島大学卒業の地域枠医師」、「自治医科大学卒業の医師」が義務年限内に無理なく専門医資格が取得できる体制となっています。
5)鹿児島大学と十分な連携がとれていますので、大学医局に入局していても非入局でも円滑な研修ができ、プログラム修了後もさらなる研修や研究あるいは就職など、大学医局を含め勤務施設の調整が可能です。

専門研修の内容

1.目標
総合診療の能力を獲得するために、在宅医療、救急医療、急性期・回復期・慢性期医療など幅広い医療について学ぶとともに、保健、予防、介護などについても経験を積み、地域包括ケアを支える医師を目指します。

2.経験可能な技能
1)診療の基本的技能:診察、血管確保(末梢静脈、中心静脈など)、動脈穿刺、胸腔、腹腔、腰椎など の穿刺、気管内挿管・人工呼吸、創傷処置など
2)基本的検査:超音波検査(心エコー、腹部エコーなど)、上部消化管内視鏡検査など
3)病院診療の基本的技能:多彩な救急、急性期、回復期、慢性期患者などへの適切な医療提供と円滑な 病診連携の構築
4)家庭医の基本的技能:訪問診療(看取り)、小児科診療、小外科手技、老人保健施設・へき地診療所の管理などを含めた地域包括ケアへの参画

3.研修の特徴
1)鹿児島県内の数多くの公的病院が参加し密接に協力していますので、離島診療所から地域の中核病院までの多くの医療施設から、研修に最適な研修施設を選択することができます。
2)地域中核病院の高度急性期病棟から、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、療養病床、さらに訪問診療、老人保健施設など、多彩な医療機能の研修をバランスよく選択することができます。
3)指導医の下でcommon diseasesを数多く経験し、また、実際に訪問診療や社会活動などに係ることによって、3年間で地域包括ケアを支える医師の基礎的な能力を養成することができます。
4)鹿児島大学との連携により大学院入学なども可能で、地域をフィールドとしたリサーチマインドが涵養できます。
5)3年間の本研修プログラムを修了することによって、総合診療専門医の認定試験の受験資格を得ることができます。

4.研修内容
専門研修には必須研修と選択研修があります。
必須研修は、総合診療研修:18ヶ月以上(総合診療研修Ⅰ:6ヶ月以上、総合診療研修Ⅱ:6ヶ月以上)、内科:12ヶ月以上、小児科:3ヶ月以上、救急科:3ヶ月以上から構成されています。総合診療研修Ⅰは主に診療所、中小病院の外来や訪問診療を、総合診療研修Ⅱは主に病院の総合診療部門を中心とした入院診療を研修します。選択研修としては、総合診療に役立つ外科、整形外科、産婦人科、泌尿器科、眼科、放射線科、精神科、リハビリテーション科など最長6ヶ月の研修が可能です。


※当プログラムの基幹施設は垂水市立医療センター垂水中央病院ですが、管理型の研修施設となっているため、基幹施設中心の研修プログラムではなく、35の研修施設群全体で研修するのが基本です。実際の研修では専攻医の希望と施設の状況を勘案して、必須研修が基準を満たすようにローテーションを決定しますが、代表的なローテーション例を2つ示します。